2021年の電子帳簿保存法改正でペーパーレス化が促進する?
コロナ禍の影響を受け、リモートワークが急速に普及したのに伴い、多くの企業が、国税書類のペーパーレス化を推し進めています。
ここでは、国税書類のデータ保存に必須の「電子帳簿保存法(以下「電帳法」とする)について、2021年の電帳法改正も踏まえた基本的な注意点をまとめていきます。
書類のデータ保存には所轄の税務署長の事前承認が必要。(ただし次回の改正で撤廃)
帳簿や請求書、発注書といった国税書類については「紙での保存」が原則となっています。
そのため、データ保存に切り替える場合は、所轄の税務署に保存開始の3ヶ月前までに申請し、承認を得なければなりません。
企業側の一存で書類の保存方法を紙からデータに変更することはできないのです。
この事前承認制度はペーパーレス化の促進を妨げる要因の一つでしたが、2021年の電帳法改正により撤廃されることが決定しています。
タイムスタンプに関する大幅な要件緩和
ペーパーレス化を阻む電帳法最大の難敵と言われているのが、スキャナ保存を行う際の「タイムスタンプ」に関する要件です。
認証機関によるタイムスタンプ付与が義務化されている時点で、多くの中小企業には大変高いハードルとなっていましたが、とりわけ「タイムスタンプの付与期間は3日以内」という要件は簡単にクリアできるものではありませんでした。
21年の改正では、スタンプ付与期間が「最長2ヶ月以内」へと大幅に緩和される他、システムの構成次第では、タイムスタンプの付与自体が必須要件から外れる等、大きな要件緩和が行われます。
事務処理要件の多くも廃止に
電帳法では、データの管理やチェック体制にも厳しい要件が設定されていました。
主要なものは、「最低3名の検査体制の構築」、「1年に1回以上の定期的な処理内容の検査」、「不備が発見された場合の再発防止策の提示」は全て21年の法改正で廃止されます。
要件緩和とともに、罰則規定の設定など厳格化される面も
21年の法改正では、様々な要件緩和が行われ、データの保存手順や社内の管理体制などの采配は各社に委ねられることになりました。
一方、データの隠蔽や改ざん等が重加算税の対象とされる等、罰則規定が設定されます。
コロナ禍の影響によるリモートワークの推進に加え、21年の法改正による要件緩和で、ペーパーレス化に本腰を入れようと考える企業も多いかもしれません。
しかし、毎年のように法改正が行われる電帳法は、正確な理解が難しい法律です。国税書類のペーパーレス化を進める場合は、電帳法対応の会計ソフトを利用したり、税理士に相談したりするのが賢明でしょう。